KUMANOMANDARA7
稲葉根金剛童子王子権現 熊野詣での水垢離場
稲葉根王子社
いなばねおうじしゃ
熊野九十九王子の中でも格式の高い五躰王子の一つで社歴も古く、熊野詣での際はここで馬を降り、水垢離場でみそぎをして、ここからは徒歩で富田川を渡りました。
藤原宗忠の日記『中右記』の天仁二年(一一〇九)十月二十二日条に、「伊奈波祢王子社に参り奉幣」とあるのが、この王子の初見です。建仁元年(一二〇一)、後鳥羽上皇の熊野詣でに随行した藤原定家は、十月十三日に稲葉根王子に参拝していますが、この王子では、五躰王子に準じて、儀式が諸事華やかであったと日記に記しています。
現在は、「岩田王子」ともいわれ、村の産土神として祀られていました。拝殿が設けられ、末社に稲荷社を付帯していましたが、大正四年(一九一 五)に岩田神社に合祀され、現在の社は、昭和三十一年(一九五六)に復社されたものです。
ご案内
稲荷信仰。五穀豊穣。民生安楽。疫病退散。 熊野詣での水垢離場、五躰王子に準じて儀式が行われました。